〇またちょっと弟自慢を。昨日の読売新聞には、「オスロ合意来月30年」を受けたパレスチナ情勢の解説記事をエルサレム支局長の弟が書いている。
オスロ合意は、イスラエル建国以降のアラブとイスラエルの対立が続く中で、イスラエルを国家としてパレスチナ解放機構(PLO)を自治政府として相互承認し、ヨルダン川西側とガザ地区での暫定自治を認めるもの。しかし、その後の双方の武力衝突によってこの合意は無実化し、肝心のパレスチナ自治政府自体が腐敗の極みにあり弱体化しているというのが、この解説記事。
弟はどこの国でもどのような人にでも気軽にインタビューしてくるのが身上。かつては、リビアのカダフィ大佐などとも話している。今回はPLOのアッバス議長の側近の閣僚にインタビューしている。PLOの弱体化や腐敗を一方的にイスラエルのせいにするのはいかにもだが、ミソは最後の「米国はもはや単独の仲介者としてあり得ない・・・中国は近年、中東で効果的な仲介の役割を果たしており、中東地域で重要なプレーヤーとして期待してる」というコメント。
米国をはじめG7がウクライナばかりを向いている時に、中国は着々と次の国際秩序の形成に向けた布石を打っている。第二次大戦後の世界は、中東情勢に常に振り回されてきた。ロシアとウクライナの戦争が一段落したら(しなくても)、近いうちに中東から何かが起こることがあるだろう。おそらく、その時には米国に追従しているだけでは日本の利益にはならない事態に直面するだろう。
これからの外交は、多次元方程式の世界だ。私も、そのような眼をもって世界情勢を眺めなければならない。弟の仕事も、きっと役立つことがあるだろう。いずれ自費で現地に行って、この目で見てこようと思う。