福島のぶゆきアーカイブ

衆議院議員 福島のぶゆきの活動記録です

政治資金規正法の一部を改正する法律案について

【以下、法律論なので興味のある方向け】

〇昨日の政治改革特別委員会の午前中の審議で、私が政策活動費について「政治活動」だけが対象なので、「選挙活動」を名目にすれば公開の対象にならない可能性があると指摘した。大きな抜け穴になる可能性があるからだ。

 これに対して午後の審議で日本維新の会の青柳議員は、「政治活動に関連した経費というのは、選挙運動を含みます。これが法律的な解釈です。それから、それを除くという括弧を書かなければいけないんだというのは、これはだたの言いがかりです、申し訳ないですけど。法律上しっかり確認をしてから言っていただきたいと思います」と言及があった。

 ここは、きちんと法律的に整理しなければならない。いうまでもなく規制の対象となるかならないかの定義については、厳密で明確でなければならない。政治資金規正法(以下「法」という。)では、「政治活動」に関する定義はない。そこで、それぞれの規制条文で政治活動がどのようなものなのかを個別に定義している。

 たとえば、第4条第4項の「政治活動に関する寄付」の定義では、「政治団体に対してされる寄附又は公職の候補者の政治活動(選挙運動を含む。)」として、この定義においては選挙活動を含むことが明確に規定されている。元々の政策活動費の根拠となっているされる法第21条第2項の規定は、公職の候補者等の政治活動に関する寄付の例外規定であるから、ここには「選挙運動を含む」という定義は生きている。

 一方、自民再修正案第13条の2第1項では、公職の候補者等への寄付禁止の例外規定としての政策活動費から、政党が公職の候補者等に直接支出する場合の規定として政策活動費を正面から新たに定義しているので、「選挙運動を含む」という定義がかからなくなっている。

 法律の一般的なルールとして、ある規定が他の条文でも効力を有するときには、「以下同じ」とか「以下〇条において同じ」などと規定しなければならない。したがって、「(選挙運動を含む。)」という規定がないものについては、当然に選挙運動は含まれないと解釈しなければならない。現に、法でも、「政治活動」が単独で出てくる場合と「政治活動(選挙運動を含む。)」と規定する場合が、条文ごとで書き分けられている。

 唯一、法第21条の2で「政治活動(選挙運動を除く。)」という規定が出てくる。これは、公職選挙法において公職の候補者の選挙運動への寄付に関する規定があることに伴う調整規定であろう。ただし、あまり上手くできた条文ではない。

 いずれにしても、今回の法改正では、政策活動費の根拠規定を変えたために生じた技術上の看過することのできないミスである。結果的に大きな穴が開くこととなっている。

 元々内閣法制局に比べて規制法を作ることの少ない衆議院法制局は、このような厳密な規制法の条文を作るノウハウがかけているところがある。その上、今回は超短期間で無理な議員側からの修正要請があった結果、衆議院法制局はきちんと条文を推敲して作成することができなかったのだろう。自民党再修正案附則第14条でも、「同項の報告書」という規定の「同項」が存在しないという、あり得ない単純ミスを私が発見して指摘した。

 日本維新の会の法案修正に向けた努力には敬意を表するが、立法府の役割としてぜひ法律をしっかりと厳密に自ら読み込んでいただきたいと思う。これはただの言いがかりではない。一つの条文の一つの文言で、法律は大きく内容が変わるという重みを国会議員は自覚しなければならないのだ。

 この大きな穴は、参議院の審議において修正されることを期待する。