福島のぶゆきアーカイブ

これまでにWebで公開したものの記録です

TPP審議に関する読売新聞報道

TPP交渉の農業分野の合意内容を大筋合意の1年半前に報道し、新聞への軽減税率の導入を強力にリードした安倍政権の預言紙のご宣託。おそらく、政権は今国会での成立をあきらめかけているのでしょう。

 私が新聞のみへの軽減税率適用に関する疑問を予算委員会で行った直後に社説で私の実名を挙げて反論したように、今回も社説で民進党の対応を批判していただいている。しかし、どうも軽減税率が適用される立派な新聞の社説にしては、事実誤認が多すぎる。官邸に言われて、言われたことをそのまま鵜呑みにして書いたのだろうか。

 私たちは「甘利明・前TPP相とフロマン米通商代表部(USTR)代表の交渉に関する政府提出資料のほぼ全部が黒塗りであることを批判」しているわけではない。日米閣僚会合のやりとりは記録にすら残していない、ということを批判しているのであり、記録していないと政府が言い張る以上、黒塗りの資料すら出てきていない。

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 「TPPに署名した12か国は、発効から4年間は交渉過程の公表を禁止することで合意した日米交渉の詳細を明らかにすることは、この合意に明確に違反する」とのことだが、報道機関である以上政府のレクチャーだけではなく自分たちできちんと裏付けを調べたらどうか。そもそも秘密保持を決めた12か国の合意文書なるものすら公開されていない。一体、何を秘密にするのか具体的なことすらわからないのだ。私たちが求めているのは、すべての交渉のやりとりを公開しろという常識はずれの要求ではない。合意文書に基づいて、どこまで公開できて、どこが秘密なの線引きを明らかにしろと言うことなのだ。ましてや、西川TPP特別委員長が書いたとされる本のゲラには、かなりの情報が公開されているのだから、その程度は公開されるのは当然という主張は当たり前ではないか。

 「そもそも条約承認案の審議対象は、交渉結果である」としているが、当たり前である。だからこそ、交渉結果がなぜそうなったのか、条文が設けられた背景は何なのか、条文の解釈をするにあたって交渉の経緯を政府は説明しなければ、「TPPの内容に関して建設的な議論を深める」ことにならない。条約法に関するウィーン条約でもこうしたことは担保されているし、WTOなどのこれまでの国会審議を通じても、歴代政権はそのように対応してきた。

 石原TPP担当大臣のように、たった20分間前任の甘利氏から電話で引き継ぎを受けただけで答弁できないからなのか、秘密にかかわらないことでも、何を聞いても「交渉に関わることは答えられない」というのでは審議にならない。日米閣僚交渉のメモすらなくて、当事者の頭の中にしかないのであれば、答弁できない石原大臣ではなく、甘利大臣の参考人招致を求めるのは当然ではないか。社説では「交渉内容などは石原TPP相らに引き継がれており、現閣僚らが答弁することで何ら問題はなかろう」とお恥ずかしい論評をしている。

 すくなくとも、この報道と社説を見る限り、読売新聞はしっかりと事実を取材しておらず、おそらく国会審議のやりとりも確認しておらず、政府・官邸の主張をそのまま垂れ流しているだけである。このような新聞が、ジャーナリズムの名に値するのかは国民の皆さんが判断すべきであろう。

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