いつものことだが、すぐに「審議拒否」と批判する人がいるので、この間の経緯を説明したい。
昨日の審議を見ても明らかなように、このTPP協定の審議では、政府は交渉に関わることは一切答弁しない。条約の文言というのは、「条約法に関するウィーン条約」を持ち出すまでもなく、交渉経緯も参照しなければその解釈を確定することはできない。だからこそ、私も昨日の審議で「どこまでを出せてどこまでを出せないのか政府で政治判断せよ」と主張した。決してすべての交渉のやり取りを出せなどという無理難題を言っているのではなく、これまでの通常の条約審査レベルの情報を出すことを求めているのだ。
しかるに政府から出されてきたものは、「のり弁」と揶揄される真っ黒塗りの資料。なぜこんなものしか出せないのか問うと、TPPの首席交渉官で守秘義務契約を結んでいるからと答える。じゃあ、その契約の中に何を秘密にするのかが書かれているはずだからそれを見せろと言うと、その契約自体が秘密だから出せないという。そんなバカな話はない。いかにTPPが異常な協定かということを示している。
...一方、西川委員長は『TPPの真実』という本の出版を予定していて、アマゾンでも予約受付が行われていたが、このゲラを見たところ具体的な交渉内容が満載の暴露本になっている。ここで書かれているレベルのことは、国民が広く知ることになるので国会に情報提供するべきであるし、もしここに書いてあることが守秘義務違反であるというなら、情報を漏らした者を処罰しなければならない。
事前に民進党で行った勉強会では、内閣官房は「ゲラのチェックという形で具体的に執筆協力した職員は確認されなかった」と文書で回答しているので、このことを踏まえて同僚の緒方議員が石原大臣に「このことは事実か。もし事実に反するなら責任をとるか」と問うたところ、前代未聞の石原大臣の答弁拒否!自らの本が俎上になってのやりとりに、西川委員長は審議の混乱を整理することなく議事を続行しようとしたので、我々はやむを得ず退席したのである。
TPP協定については、委員会でその内容を徹底審議したいと思っている。しかし、今のようなすべてについて交渉に関わる問題だから答えられないという政府の対応では、まったく実のある議論はできない。審議が始まったばかりの段階だからこそ、審議の前提条件となる審議ルールをしっかりとしたものにしなければならないのだ。決してマスコミ向けや選挙目当てのパフォーマンスではない。