〇この週末は、朝早く起きて東京へとんぼ返り。日野公三理事長率いる、(株)アットマーク・ラーニング創立25周年・アットマーク高等学校創立20周年、明蓬館高等学校創立15周年記念の教育シンポジウムで、何としても祝辞を述べたかったのだ。
この学校は、私と今は立憲民主党衆議院議員の後藤祐一さんとで経済産業省時代に発案して作った構造改革特区制度を活用して、株式会社立の学校の第一号として作られた学校だ。日本の学校は画一的でつまらなく、戦後教育の成果も上がっていない。その制度的要因をいろいろと研究してみたが、個別の法令による規制の問題ではなかった。戦後に出来た似非民主制度の教育委員会と私学助成金と引き換えに必要な学校法人制度が、隠微な文部科学省の画一的な学校統制の要因だと結論付けた。
そこで、特定の地域で全国一律の規制の特例を適用できる構造改革特区制度を活用して、地方公共団体が申請すれば、文部科学省の統制を受けない学校として、学校法人以外が学校を設立できるようしたのだ。私自身、高校生以降は教科書も買わず学校での授業はほとんどまともに受けていないし、構造改革特区担当大臣であった故鴻池祥肇先生も戦後の文部省教育に大きな問題意識を持っていたので、この特区は当時の小泉政権の目玉とすべく心血を注いだ。
この制度は、最後は鴻池大臣と当時の遠山敦子文部科学大臣が30分間秘書官も入れずにサシで話をして、実現させた。亡くなるまで、鴻池先生は二人でどのような話をしたのか誰にも明かさなかったが、おそらく表にはできないような説得の仕方をしたのだろう。このような異例の決定で実現した制度の下、不登校児を対象としたフリースクールや通信制の学校、専門職大学院などが、学校法人以外の新たな学校として次々と生まれていった。この中には、デジタルハリウッド大学などがある。
文部科学省は、自らの統制下にない学校を潰したいと思っているから、アメとムチを使って巧みに学校法人に転換させようとした。アメに引き寄せられて、特区で学校を作ったにもかかわらずたった2,3年であっさりと学校法人に転換するビジネススクールなども現れた。鴻池大臣は激怒していたが、私は「なるほど、これがハーバード流経営術なのか」と妙に感心してしまった。
そうした中、アットマーク・ラーニングは、この20年間ずっと志を曲げずに、株式会社立のまま立派な学校を発展させ続けてくれている。私学助成金はもらえないから運営は相当大変なはずだが、建学の理念は一切曲げていない。「21世紀の教育は、学校が提供するものではなく、生徒たちの目線で必要なニーズを提供すること」という考えは、文部科学省の教育行政とは真っ逆さまだ。「生徒を主語にし、生徒と共に歩み、生徒と共に走る学校」は、着実に成果を挙げている。
日野理事長は、この日の挨拶で「異端じゃなければ、先端にはなれない」と語った。私は、異端が先端となり、いずれ普遍となる時が来ると確信している。構造改革特区制度を作った者として、私も日野理事長のチャレンジ精神に倣い、先端になるために異端となることを恐れずに行動したい。