福島のぶゆきアーカイブ

衆議院議員 福島のぶゆきの活動記録です

衆議院厚生労働委員会で離島における医療・介護等の実情調査

○衆議院厚生労働委員会で離島における医療・介護等の実情調査のため、長崎市と五島市に行ってまいりました。

 長崎市を訪れるからには、長崎原爆資料館を訪れないわけにはいきません。原爆投下の時間で止まった時計などの生々しい展示物の前で、私たち各党会派すべてのメンバーはただひたすら重い気持ちで、声を発することもできませんでした。

 離島医療に力を入れる長崎大学病院では、離島医療に関する概況説明を受け、五島市側で実際に検診を受ける患者さんの画像を見ながら、大学病院側の専門医が離島側のドクターにアドバイスする様子を拝見いたしました。くっきりした画像など技術的な面では素晴らしいのですが、こうした遠隔診療にはまだ今の診療報酬制度で対応できないという問題もよく理解いたしました。

 離島での患者の緊急搬送は、ドクターヘリや県の防災ヘリで行いますが、夜間や悪天候時は自衛隊のヘリコプターが支えています。その運行を行っている海上自衛隊大村航空基地も訪問いたしました。救助用のヘリは次々と退役してしまい、哨戒ヘリを何とか運用している状態とのこと。交換部品の不足にによって「共食い」状態となり、運行できるヘリコプターも減っていると言います。与野党双方の議員から「防衛費を増やしているのになぜ?」との声も上がりました。

 翌日はいよいよ高速船で五島に渡り、離島医療の拠点となっている二次医療機関の五島中央病院・長崎大学離島医療研究所を訪問しました。五島中央病院の理念は「郷診郷創」。昨日映像で見た現地側の対応の状況を、実際にこの目で確認。人口当たりの医師数は、五島のような離島でも私たちの地元の筑西・下妻医療圏より多いのですが、私たちの地元と同様に診療科目が偏り、脳卒中や心筋梗塞といった急性期患者には対応できません。患者数も減り続けて、経営はかなり大変のようです。

 五島市では、さまざまな遠隔医療を支える仕事をさまざまな団体等が行っています。市では、医療MaaS(医療と新しい移動手段のと融合)として医療機器を搭載したモバイルクリニックを巡回運行し、離島の中の移動手段の少ない小集落などに対応しようとしています。そこで問題になるのが薬の処方と配送なので、豊田通商㈱が全額出資する「そらいいな㈱」がドローンによる医薬品の配送事業を実証的に行っています。その他、民間の訪問看護の事業者や、民間で対応できないサービスを担っている五島市社会福祉協議会の現場の皆様などからもお話を伺いました。それぞれの場で、高い志を持って離島医療を支えている方がいる様子を拝見して、心から敬意を持ちました。

 離島医療というのは離島特有のものではなく、高齢化や過疎化が進む地方の医療を先行するものです。やがては、私たちの住む地域の問題ともなってくるのです。問題を解決するための新しい技術はいろいろと出てきますが、それが医療現場で使われるためには診療報酬での対応や規制面での対応などさまざまな社会的な仕組みを作っていかなければなりません。それこそが、本来の私たちの役割です。厚生労働委員会の視察がいいところは、視察の現場で委員長含め与野党間で闊達な議論が行われ、「こういう制度にした方がいいね」と議論の方向性が見えてくることです。

 「日本の医療を日本国中隅々できちんと国民が受けられるようなものにしたい」というのは、すべての政党会派の議員に共通した思いです。単に国会で法案を与野党それぞれの立場に立って形式的な審議するだけだったり、スキャンダルの追及をするだけでなく、立法府の場でさまざまな今起きている問題を解決できるような国会改革が必要なのです。視察に行ったメンバーは、立場を超えてきちんとした議論を行い、結論を出せる能力があるメンバーであるとも確信いたしました。