福島のぶゆきアーカイブ

衆議院議員 福島のぶゆきの活動記録です

映画『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』

〇このニュースに出ている、映画『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』を観てきた。日本ではパレスチナのガザ地区の大量虐殺が多く報道されているが、その陰でヨルダン川西岸地区ではイスラエル人の国際法違反の入植が続き、多くのパレスチナ人が故郷を追われている。

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 アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞したこの映画は、1996年生まれの同い年のパレスチナ人とイスラエル人の若者の視点から、ヨルダン川西岸で起きていることを生々しく描いている。奪われる側のパレスチナ人と奪う側のイスラエル人が、対立する民族を超えて心を通わせていくこともこの映画の一つの見どころであるが、そんなヒューマンドラマより、ひたすら続く理不尽なイスラエルの暴力に目をそむけたくなる。

 パレスチナ人のバーセル・アドラーの父も、故郷の地で反イスラエルの運動をしていて、父がデモをしている時の子ども頃のバーセルの姿も映像で出てくる。そして、その父は、最近もイスラエル軍によって逮捕される。さらに、映画では、バーセルの甥が通う小学校で授業をしている最中に、その小学校がイスラエル軍のブルドーザーによって無残に破壊される衝撃的な映像が流される。子どもたちの泣き叫ぶ声が響いている。そして、イスラエル人入植者の略奪に抗議するバーセルの従弟が、入植者に腹部を銃で撃たれて倒れるシーンで終わる。

 これが、ヨルダン川西岸の日常だ。民族の悲劇は親から子、孫へと伝えられていく。そしてその憎しみは、簡単には消えることはないだろう。2024年のベルリン国際映画祭での受賞スピーチで、バーセルは

「受賞は嬉しく思いますが、ガザで何万人もの人々がイスラエル軍によって虐殺されているこの状況で、私はこれを祝うことができません。私の故郷マサーフェル・ヤッタもブルドーザーで破壊され続けています。ドイツの皆さん、ここベルリンにいる皆さんにお願いです。国連の協定を守り、イスラエルへの武器供与を止めてください」

と語っている。

 イスラエル人の共同監督のエヴァル・アブラハームは

「今皆さんの目の前に立っている私たちは同じ年齢で、私はイスラエル人、彼はパレスチナ人です。そして2日後に国に帰ったら、そこでの私たちは平等ではなくなります。私は民法の下で、バーセルは軍法の下で暮らしています。私たちの家は30分しか離れていません。私には投票権がありますが、バーセルにはありません。私にはどこへでも行ける自由がありますが、バーセルは他の何百万人のパレスチナ人と同様、占領下のヨルダン川西岸地区に閉じ込められています。私たちの間にあるこのアパルトヘイトの状況、この不平等は終わらせなければなりません。私たちが問うのは、占領を終わらせ、政治的解決を達成するためにどう変わっていくべきかということです。今は答えがないかもしれませんが、人々のために立ち上がることがその一つだと思います」

と語っている。

 その後、このニュースにあるように、もう一人のパレスチナ人監督のハムダン・バラールが、イスラエル人入植者に暴行を受けた後イスラエル軍に拘束された。あらゆる理不尽がパレスチナにはある。

 日本の政治家として、たとえごく小さな力であったとしても、決して見捨てずに声を上げ続けていきたい。