福島のぶゆきアーカイブ

これまでにWebで公開したものの記録です

TPPをめぐりギリギリの調整

 金曜日までTPPへの我が国の対応を巡るギリギリの調整の最前線に立ってきた。まず水曜日の党の経済連携PTでは、断続的に中断して役員会で侃々諤々の議論をしながら、深夜になって以下のとりまとめを行った。

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•TPPへの交渉参加の是非の判断に際しては、政府は懸念事項に対する事実確認と国民への十分な情報提供を行い、同時に幅広い国民的議論を行うことが必要である。
•APEC時の交渉参加表明については、党PTの議論では「時期尚早・表明すべきではない」と「表明すべき」の両論があったが、前者の立場に立つ発言が多かった(詳細は別表の通り)。
•したがって政府には、以上のことを十分に踏まえた上で慎重に判断することを提言する。

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- これを一読いただければ、かなり中立的、前のめりではない結論であることがお分かり頂けると思う。しかし、翌日に内々に入った情報では、総理は「TPP交渉参加に入るべきとの結論に至った」というような趣旨で発言するとのことなので、体を張って反対を主張させていただいた。そもそも、TPP交渉に参加するにせよ、しないにせよ、なにも条件もなく丸腰で交渉に参加するような稚拙な外交はあり得ない。APECはアジアにTPP参加を表明するような場でもない。9月の国連総会の場での会談で話したことに対してアメリカのオバマ大統領どのように宿題返しをするか、という程度の話である。そうであるなら、もっとしたたかに日本の立場を表明しなければならない。

- 結局、私たちの捨て身の訴えの成果か、木曜日の総理の表明は延期され、金曜日の夜に野田総理は、
「TPP交渉参加に向けて関係国との協議に入ることといたしました。もとより、TPPについては、大きなメリットとともに、数多くの懸念が指摘されていることは十二分に認識をしております。・・・・・関係各国との協議を開始し、各国が我が国に求めるものについて更なる情報収集に努め、十分な国民的な議論を経た上で、あくまで国益の視点に立って、TPPについての結論を得ていくこととしたい」
と表明された。多くの報道は予定原稿があったのか「TPPへの参加表明」といつも通りの不正確な誘導報道をしていたが、この文章を正直に読むなら、これは「TPPへの参加表明」などという代物ではなく、情報収集をさらに進め、日本が守るべきものを見定め、国民的な議論を深めた上で、最終的に判断するという外交交渉上の当たり前のプロセスを表明したものにすぎない。パフォーマンスで前のめりな参加表明を行うのではなく、これからの交渉ポジションを定める余地を確保した点で、私は最低限のラインで妥当な表明だと考える。

- 今日報道されているAPECの報道を見ていると、TPPをめぐって米国や中国、アセアン諸国などさまざまな駆け引きが行われているようだ。「APECで表明しなければ日本はアジアから取り残される」という1年前の報道が如何に情緒的だったのか、ということだ。日本の報道機関も「国を開け」と叫ぶ前に、ぜひ自らがまっとうな国際感覚を身につけてほしい。日米首脳会談では、日本はTPP、牛肉、普天間ハーグ条約と両手一杯のお土産を持っていったのに、アメリカは拉致問題、領土問題、日中関係、通貨問題など日本の欲しいものは何一つ具体的なものは持ってきていない。甘いものではないのだ。それはおろか、アメリカの大統領府のHPには、英語で恐縮ですが、
”Prime Minister Noda's statement that he would put all goods, as well as services, on the negotiating table for trade liberalization”
とある。つまり、野田総理は、コメや医療サービスなどすべてを交渉の対象にすることを認めたというのだ。これが事実なら、金曜日の会見とまったく違ったことをオバマ大統領に言ったことになる。火のないところには煙は立つまい。二枚舌外交と批判されても仕方ないであろう。

- いずれにせよ、本当の戦いはこれからだ。これまでの経過を見ていると、政府の交渉姿勢には大いに危うさがある。今後の国会でも大きな議論になっていくであろう。対応を間違えれば、野田政権は即危機的な状況に陥ってしまう。決して日本の利益を失うような外交をすることがないよう、私は引き続き全力で議論を行い、行動してまいります。