福島のぶゆきアーカイブ

これまでにWebで公開したものの記録です

国会議員の歳費削減について思うこと

〇ちょっと前のニュースで書きそびれてしまったこと。

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 確かに、これだけ自粛要請の中で経済が縮小している中で、国会議員がぬくぬくと高額の給料をもらい続けているのはおかしい、という国民の感覚はわかるし、歳費を下げるのも当然だろう。

 しかし、それを議員側が、さも「身を切る改革」のように言うことには眉に唾をしたほうが良い。削減額が足りないという意味ではない。国会議員が、本来すべき仕事をしていないことの免罪符にしてはいけないからだ。

 言うまでもなく、国会議員は立法府の人間。法律を作ることが仕事だ。その法律があれば、行政府つまりお役所を動かすことができる。たとえば、自民党・公明党の国会議員は、「行政が営業の自粛を指示しても、それを政府が補償できない」と言う。それは、はたして本当か?

 与党の議員が言っていることは、「政府が民間企業に自ら損害を与えたものではないから、補償という概念は成立しない」というお役所の論理にすぎない。補償という形じゃなくて、民間企業の法律に基づく営業の停止に際して何らかの公的資金を投じることは、憲法で禁じられているわけではない。当然、法的な合理性、論理的整合性は必要であるが、何らかの仕組みで立法措置を講じれば、どんなに役所が嫌だと言っても、制度として実現することはできる。それをはじめからあきらめることは、立法府の人間としての職務の放棄だ。

 今現実に私の地元で起きていることで、たとえば感染者が出ても個人情報保護を理由に、その感染者の情報が何ら出てこないというものがある。こうしたことも、当然憲法との整合性をとりながら、公益的目的が合理的であれば、たとえば大まかな住所や行動をその個人と特定されない形で公表を義務付ける法制度を作ることは可能だろう。そもそも、このような事態の下では、新型インフルエンザ等対策特別措置法は、あらゆる面において強制力が弱すぎる。意味のある改正が必要だ。

 消毒用のアルコールが足りない中、酒造会社に高アルコール度のお酒を造ってそれに代替させようとしても、免許によっては製造できない場合がある。テイクアウトで食品を杯倍する場合も、食品衛生法上の規制がかかるときもある。緊急事態宣言が出ている間は、時限的にこのような規制を緩和する特区的な手法も立法措置によっては可能となるだろう。

 このような緊急時こそ、立法府つまり国会議員の出番なのだ。3.11東日本大震災の時は、私は地元の市議会議員の要望を受けて、地方選挙を延期する法案を作るために奔走した。東京電力の補償が出る前に倒産を防ぐための政府による仮払い法案も立案した。いずれも、実現できた。被災地の与党の議員として、本当にてんてこ舞だった。これが、「悪夢の民主党政権」での姿だ。

 今の国会議員がやることは、いくらでもあるはずである。国民民主党は、家賃のモラトリアムを可能とする法案などいくつかの議員立法を作っているようであるが、与党の議員も奮起してほしい。みんなが自粛している中、地元で街宣車を回している場合ではない。

 ある野党の若手の議員は、2割削減じゃ少ないから5割削減をと訴えているようだ。自らの仕事が、議員報酬に値するものでないなら、そんな格好をつけるよりも自らを恥じたほうが良い。

 立法府の仕事は、法案を作る専門的な作業だけでなく、関係者の意見を聞いて調整したり、他党にはたらきかけて国会での成立に向けた根回しをしたり、それぞれの能力と専門性に応じた仕事がいくらでもある。報酬を下げることを訴える時間があるなら、夜を徹して仕事に汗を流すべきだ。

 今、国会にいない私には、それはできない。これだけの国難の時。現職の与野党の国会議員の皆さんには、「なるほど国会議員がはたらいているな」と国民に納得していただけるような立法府としての仕事を、身命を賭してしていただきたい。