福島のぶゆきアーカイブ

これまでにWebで公開したものの記録です

高齢者医療費2割負担

○予定調和の自公間の茶番。衆議院選挙をにらんだパフォーマンスと、菅新政権になってからの政権内の力比べにすぎない。

 年収170万円以上か、240万円以上かというバナナのたたき売りのような話ばかりで、そこには地に足の着いた高齢者の生活の匂いは何も出てこない。

 確かに団塊の世代が「後期高齢者」となる中で、高齢者の医療費が全体の医療費を圧迫し、若年層の負担を増やすことをに対応することは、喫緊の政治の課題だ。1割負担という負担感のなさが過剰診療を生んでいることも事実だろう。

 その一方で、1割負担を2割負担にするということは、たった1割が2割になるだけじゃないかと思うかもしれないが、月々の医療機関などの窓口で支払うお金が倍になるということだ。年金生活を送っている世代にとっては、かなりの負担増になる。

 総務省の家計調査の2019年のデータを見ると、平均的な75~79歳の夫婦で暮らす年金生活者の1ヶ月の収入は約23.3万円(年収約280万円)、支出は約22.6万円。支出の内訳は、食費6.8万円、住居1.1万円、光熱費2.1万円、交通・通信費2.7万円、税金・社会保険料3.0万円、教養娯楽費2.2万円などとなっており、医療費は1.4万円だ。

 制度の詳細が分からないので断定できないが、仮にこの世帯の医療費負担が倍になれば月に2.8万円の支出増となる。この年になって年金収入を増やせるわけではなく、税金の負担も免れようがなく、食費や光熱費などを減らせるわけでもないから、医療機関に行く回数を減らすか、教養娯楽費などを削ることになるだろう。いずれにしても、後期高齢者の今のライフスタイルは大きく変えざるをえない。

 私は、問題は、こうした生活実態に根差した議論が政権の中で行われ、制度の変更に伴う覚悟や我慢を国民に訴える言葉が政治家から出されることがないことにあると考える。生活実態に根差した政治であるならば、後期高齢者の医療費負担倍増を単に年収いくらで区切るかという冷たい数字の議論ではなく、年金制度や税制、日常生活に必須な生活費への支援のあり方など、高齢者の支出と負担に関する総合的、俯瞰的な制度的議論が行われるはずであろう。

 官僚組織の出す冷たい机上の数字と、選挙を意識したパフォーマンスだけの政治から脱却したいものだ。そのためにも、国民の皆さんの声が必要なのだ。

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