〇私が副会長を務めるインボイス問題検討超党派議員連盟で、昨日藤井聡京都大学大学院教授をお呼びして講演をいただきました。
10月から始まるインボイス制度は、あまりメディアでは報道されていませんが、個人事業主や零細企業にとっては極めて大きな影響を与える制度です。この小難しい制度の問題点を、藤井先生は独特の関西弁で分かりやすく話をしてくれていますので、ぜひご覧ください。
(以下、長文の述懐)
浪人中の私は、妻と二人で作った会社でコンサルティングや講演などの仕事をして生活を成り立たせていました。消費税の免税事業者が年間売上高3,000万円から1,000万円に引き下げられてしばらくして、水戸税務署の幹部から電話が掛かってきました。税務署に出向くと、「福島先生、消費税の課税事業者になっていますから、払ってください」と言われ、100万円近い金額の納税通知書を渡されました。
自動車税や国保税などを納付してすっからかんになっている苦しい時期、浪人の私にそんなお金はいきなり払えません。消費者金融からお金を借り、いくつかの公租公課をお恥ずかしながら滞納し、ようやく支払った苦しい思い出があります。私は、消費税というのは、その名の通り消費者が支払うものではなく事業者が支払う税で、他のどんな税金よりも重いということを身をもって実感いたしました。
おそらく制度を作る財務官僚たちや世襲のボンボン政治家たちには、このような税金だという皮膚感覚はありません。政治の現場でも、安易に「社会保障のためには消費税が必要だ」という数字いじりだけの議論がなされますが、税を支払う人たちが経済を支えているのですから、いつもこうした視点からの議論が必要であると私は思っています。
だから私は、民主党の野田政権の時には消費税増税法案に造反して反対し、安倍政権で10%に増税するに際しては8%の「軽減税率」という名の複数税率制度に予算委員会の場で反対する議論を安倍首相に対して直接いたしました。このインボイス制度は、複数税率を処理するために必要であると言って導入されているのです。とりわけ「日刊紙が8%の税率になっているのは、安倍政権とメディアの特別な関係によるものではないか」という私の指摘に対して、読売新聞は翌日の社説で私を名指しして批判をしてきたのにはビックリしました。何か特別な不都合でもあるのでしょうか。インボイス制度導入の契機となった「軽減税率」の恩恵を受ける大手メディアは、この問題を報道しようとしないのです。
もう10月の導入を止めるのは難しい時期に入ってしまったのかもしれません。しかし、税金は一方的にお役所から取られるものではなく、どのような税金を支払うかは本来主権者の皆さんが政治を選択することによって決めることです。ただ不承不承税金を払うだけではなく、ぜひ上記動画を見て、自分たちの問題として税制を考えてみていただければと思います。
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東京新聞の記事